バレエ 『うたかたの恋』(原題: Mayerling / マイヤーリンク)あらすじ

マイヤーリンク02

バレエ “Mayerling” って?

バレエ “Mayerling”(マイヤーリンク,『うたかたの恋』)は
史実に基づいたバレエです。

ルドルフの結婚式から 弱冠 17歳 の愛人、マリーとの心中までの
約8年間を3幕のバレエで描かれています。

バレエ作品としては登場人物も多く、
鑑賞前にあらすじを読んでおくことをおすすめします。
私も事前にあらすじを読んでいきましたが、
登場人物の立ち位置や話の詳細が理解できたのは鑑賞3回目でした笑。

この記事では、バレエの展開に合わせて
あらすじを書いていきます◎

登場人物

登場人物については、こちらをご覧ください。

バレエ 『うたかたの恋』(原題: Mayerling / マイヤーリンク)登場人物とあらすじ

バレエのあらすじ

プロローグ

暗い日。雨の中、4人の男性が棺桶を運んでいます。
ひっそりと納棺される棺。誰のものかわかりません。

聖職者が聖書を読んで祈りを捧げています。
人知れず御者らしき人物が馬車のそばで泣いています…。

1幕

1場:ルドルフとステファニーの結婚式

オーストリア・ウィーンにある
ハプスブルク家のホーフブルグ宮殿。

ダンスホールでは、皇太子ルドルフとステファニー王女の
豪華絢爛な結婚舞踏会が開かれています。

結婚式の途中にも、気が多いルドルフは他の女性に目移り。
結婚相手であるステファニーの実の姉ルイーザや過去の愛人と親しげ。

はじめは嫌がっていたルイーザも、
少しずつルドルフに心を開くようなそぶりをみせ、
妻となったステファニーは不安を隠せません。

自身の結婚式にも関わらず、妻ではない
他の女性に目移りするルドルフに周りの反応も冷ややか。

孤立するルドルフの元には、ハンガリーの高官たち。
彼らはハンガリーがオーストリア=ハンガリー帝国から分離できるように
力添えをしてほしいとルドルフに近づきます。
これが、現国王であるルドルフの父との親子の確執につながっていきます。

華やかな結婚舞踏会の中、
かつて愛人だったラリッシュ伯爵夫人とルドルフは二人っきりになります。
彼女は、ルドルフの不意をついてキスをします。

その現場を結婚式に参列していた多くの人が目撃し、
なおさらルドルフに対して冷ややかな空気が流れます。

ハンガリーの高官たちはなお、
ルドルフを説得するのに余念がありません。

2場:エリザーベト妃の部屋

ルドルフの母、エリーザベトの部屋では
エリーザベトの娘(ルドルフの姉)や客人の女性たちが楽しく過ごしています。

そこに、息子のルドルフ。

客人たちはそそくさと部屋を出ていきます。
その途端、楽しそうだったエリーザベトは、
表情を変え、本に没頭しようとします。

ルドルフはかまわず母に甘えようとしますが、
エリーザベトは冷たく突き放します。
この場面で、母親とも確執があったことがわかります。

ハンガリーの高官たち。
孤立を深めるルドルフにまたも囁きかけます。

3場:王宮のルドルフの寝室

ルドルフとステファニーの寝室では、
結婚初夜を迎える準備が行われています。

妻であるステファニー王女は
いくつも寝間着を検討しますが
ルドルフが他の女性によく目移りすることを
知っているため、どこか不安げ。

そんな中、ルドルフが帰ってきます。
その手には、銃と骸骨。

恍惚とした表情で骸骨を眺めるルドルフは
銃でステファニー王女を脅しながら、荒々しく行為に及びます。

2幕

1場:ルドルフお気に入りの娼館

ルドルフとステファニーの新婚旅行。
ついた先は、なんと娼館。男性が女性と遊ぶところです。

そこには、ルドルフが1番好きな愛人であり、
高級娼婦のミッツィーがいます。

娼館でだらしなく遊ぶ娼婦と男性たち。
明らかに高貴なステファニー王女だけ浮いています。
ステファニー王女は耐えられなくなり、怒って帰ってしまいます。

ハンガリーの高官たちも加わり、みんなと遊ぶルドルフ。
酔っ払ってへべれけ。楽しそう。


▲引用:英国ロイヤルバレエ団 Youtubeより / Tavern scene(娼館のシーン)
黒いチュチュの女性がミッツィーです。

そんな中、警察官が取り締まりにやってきます。
ルドルフと高級娼婦ミッツィーはうまく隠れることに成功。
警察官が帰った後、二人きりになったルドルフは、
ミッツィーに一緒に死なないかと心中を提案しますが、
彼女はきっぱりと断ります。

そんな中、ミッツィーがルドルフにわからないよう、国の役人に1枚の紙を渡します。
そこには、ルドルフが国の後継者でありながら
ハンガリー分離派運動に加担しているということが書いてあり、
のちに波紋を巻き起こすのでした。

2場:娼館の外で

娼館を出たルドルフは、
そこで待ち構えていたラリッシュ伯爵夫人(元愛人)と会います。
彼女は、のちの心中相手になるマリーを
ルドルフと引き合わせようと連れてきたのです。

3場:マリーの家

マリーは若干17歳。純粋な彼女はルドルフに一目惚れ。
彼の肖像画を眺めては、うっとりしています。

しかし男爵令嬢ではあるものの、王族ほど高貴な身分ではありません。
母親は娘が皇太子のそばにいられるようにしたいと願ったのでしょう。
(身分をいいものにして権力と富を手にしたいという策略もあるのかも)

ラリッシュ伯爵夫人と一緒になってマリーを説得し、
愛を伝える手紙を書かせ、ラリッシュ伯爵夫人に託します。

4場:王宮での国王の誕生パーティー

国王(ルドルフの父)の誕生日パーティー。
そこでルドルフは総理大臣にある紙について問われます。

高級娼婦ミッツィーがこっそり手渡していたあの紙です。
そこに書かれているのは、ルドルフがハンガリー分離独立運動に加担しているという内容。

これは事実かと問い詰められるルドルフ。
ルドルフは否定しますが、
父や総理大臣との確執は深まるばかりです…。

このパーティーには、
国王は自分の愛人であるオペラ歌手を、
エリーザベト(国王の妻であり、ルドルフの母)も自分自身の愛人を同伴しています。

エリーザベトは、自分の夫への誕生日プレゼントに、
彼の愛人であるオペラ歌手の肖像画をプレゼントします。
それを見た国王の母(ルドルフの祖母)は激怒。
ここでもまた、ルドルフの家族内の確執が見て取れます。

ファンファーレが鳴り響き、花火があがります。
人々は歓声をあげ、花火を見にいきます。

その陰で、エリーザベトとその愛人は愛を確かめるように踊ります。
その様子を苦しそうに見ているルドルフ。
母が、父以外の男性と楽しげに過ごす様子を見て悲しみにくれます。

ルドルフが見ていることに気がついた二人は、気まずそうにその場を離れます。
うらめしそうに息子を睨むエリーザベト。
息子よりも愛人の方が大切であるかのように私は感じました。

そんな風に苦しむルドルフを心配する人がいました。
元愛人で、マリーを紹介したラリッシュ伯爵夫人です。
彼女は彼の苦しみを、間近で一番理解しているのかもしれません。

オーケストラの音楽がやみます。
国王の愛人であるオペラ歌手がピアノ伴奏にあわせ
『我は別れゆく』という「別れ」をテーマにした歌を歌います。

その場にいる人々はそれぞれの「別れ」に思いを馳せて時間を過ごします。

花火が再び上がる中、ラリッシュ伯爵夫人は、
マリーの手紙をルドルフに渡します。
それは、マリーの熱い想いを伝える手紙でした。

5場:王宮のルドルフの寝室

ルドルフの寝室にマリーが密かにやってきます。
二人は何かを埋めるように求めあい、愛し合います。
その様子はとても濃厚で官能的です。


▲引用:英国ロイヤルバレエ団 Youtube より / Bedroom pas de deux (Sarah Lamb, Steven McRae; The Royal Ballet)

3幕

1場:田舎での王家の狩猟遊び

王族の一行は森に狩に来ています。
王様やエリーザベトは、それぞれの愛人を連れてきています。
もちろんルドルフや妻のステファニー、ラリッシュ伯爵夫人、
ルドルフの姉妹たちもいます。

ここでもルドルフは愛人と仲良し。
ステファニーは不満げです。

人々が狩猟を楽しもうとする中、
ルドルフは誤ってライフルを発砲してしまいます。

運悪くそれが、人に命中。
その人は命を落としてしまいます。

事故とはいえ、人を殺めてしまったルドルフは
なおさら心を病んでいきます。

後継を心配する国王。

2場:王宮のルドルフの寝室

ルドルフは部屋でぐったりしています。
その手には注射。
彼は心の苦しみのあまり、モルヒネを常用する薬物中毒に陥っていました。

彼の部屋を訪れたラリッシュ伯爵夫人は、
彼を心配し、かけよります。

彼女はルドルフが苦しみ、おかしくなっていく様子に
悲しみながらも寄り添います。

そこにエリーザベトが入ってきます。
様子のおかしい息子に気がついたエリーザベトはすごい剣幕で
ラリッシュ伯爵夫人を責め立てます。

ラリッシュ伯爵夫人はそれには怯まず、
ルドルフを助けていただけませんか、と助けを求めるように懇願しますが、

エリーザベトは聞こうとせず、
ラリッシュ伯爵夫人に『出て行きなさい』と命じます。

そこでラリッシュ伯爵夫人は、
こっそり呼びよせていたマリーを中に入れ、自身はその部屋を後にするのでした。

若いマリーは怖いもの知らずです。
ルドルフへの愛を信じ、
『あなたが死にたいなら私も一緒に死ぬ』
と、死を恐れようともしません。

一緒に死のうと決心を固めた二人は、心中を約束するのでした。

3場:マイヤーリンクの狩猟用ロッジ

ルドルフはマイヤーリンクにある狩猟用のロッジで
友人たちとお酒を飲んでいます。
あまりにも酒の進みがはやいので、友人たちも心配顔です。

そこにブラットフィッシュ(ルドルフのお気に入りの運転手)とともに
マリーがやってきます。

ルドルフは、ブラットフィッシュに
『何か余興をやって』とお願いするものの
当の余興には全く目もくれず、
マリーとお酒を飲んではキスするのに夢中。

ブラットフィッシュは明るく余興をして楽しませようとしますが、
何か不穏な空気は感じていたのかもしれません。

ブラットフィッシュの見せ場の後、感謝を伝えるルドルフ。
彼に下がるように言います。

二人きりになったルドルフとマリー。
二人は、最後の時間を楽しむように愛を確かめ合います。
その途中にも、薬物注射がやめられないルドルフ。
深い悲しみが感じられます。

ついに覚悟が決まった二人は、意を決したようにベッドに向かいます。
そして、銃声。ルドルフがマリーを撃ったのでした。

銃声を聞きつけたブラットフィッシュと友人たちが
慌てて入ってきますが、ルドルフはすごい剣幕で3人を追い出し、
そして自らをも銃で命を絶ちます。

銃声を聞いて慌てて戻るブラットフィッシュと友人。
その惨状をみた3人は、その場に泣き崩れます。

エピローグ

暗い雨の日。
この凄惨なニュースが世に広まらないよう、秘密裏にマリーは埋葬されます。
外出着を着せられ馬車からこっそりと運ばれるマリーの遺体。

棺に遺体がおさめられ、4人の男性がその棺を埋葬します。
聖職者が聖書を読んで祈りを捧げています。
それを見届けたブラットフィッシュは、悲しみに打ちひしがれるのでした。

私はポーランド国立バレエ団の公演でこの作品を知りました。
1度見に行ってその魅力にどハマり…!結果、3日連続で鑑賞しにいきました。

その時のレポートは次の記事で!

私が見たものとキャストは違いますが、
オリジナルである英国ロイヤルバレエ団の MAYERLING は
DVD / Blu-ray 化 されているようです。