バレエ 『うたかたの恋』(原題: Mayerling / マイヤーリンク)概要と登場人物

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バレエ “Mayerling” って?

バレエ “Mayerling”(マイヤーリンク, 日本題『うたかたの恋』)は
史実を元にしたバレエです。

1889年1月30日、オーストリア=ハンガリー帝国の皇太子、ルドルフが17歳の愛人マリーとともに心中。
当時、かの有名なハプスブルク家の跡継ぎだったルドルフの心中はヨーロッパ中でニュースになりました。

一部では、自殺と見せかけて暗殺されたのではないか等、憶測を呼んでいますが、今だその死は謎に包まれています。

バレエ “Mayerling” は、ルドルフの正妻ステファニー王女との結婚式から
弱冠 17歳 の愛人マリーとの心中までの約8年間を3幕のバレエで描いている作品です。

マイヤーリンク

▲ポーランド国立バレエ団の “Mayerling” パンフレット

どんなバレエ?

大人向けのバレエです。

史実を元にしており、音楽や振付も芸術的で、
ダンサーの方々のバレエはもちろん、演技力も光ります。

ルドルフと彼を取り巻く女性たちとともに
ルドルフが心を病み、心中するまでの出来事と心の動きを描きます。

全体的に話は暗く、不倫, 性的暴行, 薬物依存, セックス, 殺人, 心中… といったテーマが出てきます。
鑑賞に年齢制限もあると聞きます。(16歳?18歳?)

ただ、終始美しく描かれています。
私個人的には過去一で、ハマっている作品です。笑

オリジナル・初演は英国ロイヤル・バレエ団(1978年)。
英国ロイヤル・バレエ団の MAYERLING は DVD / Blu-ray 化 されているようです。

私が鑑賞したポーランド国立バレエ団のものも、衣装や振り付けは基本的に同じです。

登場人物

たくさんいてややこしいのでフルネームは省き、できる限りシンプルに詳しく書きます。

そして、各キャラクターの見せ場がどこにあるかも一緒に書いていきます。

 

※そこで「パ・ド・ドゥ」という言葉をたくさん使います。

これは、「2人で踊る踊り」のことです。

ルドルフ

主演男性。マイヤーリンク事件で心中する皇太子。
オーストリア=ハンガリー帝国の跡取り。
厳しい祖母によって母親から引き離され、
教育という名目で虐待同然のひどいしつけを受けて育っている。

幼少期の愛情不足と皇太子という立場ゆえの確執により、
女性関係にだらしなく、心を病んでいく。

作品では22歳〜30歳のころが描かれています。

 

終始 舞台に出ており、演じることに加え、
6名(簡単な振りを入れると7名)の女性や

ハンガリーの高官たちと踊るシーンがあるので
それぞれのダンサーさんと息が合わないとできない難役。

男性ダンサーが主役のバレエも少ないので
そういう意味でも見せ場の多い役です。

マリー

主演女性。マイヤーリンク事件でルドルフと一緒に死ぬ女性。
心中時点で、当時17歳。
男爵令嬢。自由に宮殿に出入りはできない身分。

バレエ作品の中ではルドルフに一目惚れ。

1幕で一瞬出てきますが、

このシーンって…考えたらマリーは9歳とか…

 

見せ場は、2幕以降です。
ルドルフとのパ・ド・ドゥは2幕&3幕に2回の計3回。
2幕の終わりの愛を確かめるパ・ド・ドゥと
3幕の心中を決意する最後のパ・ド・ドゥが特に見どころ。

ステファニー王女

ルドルフの正妻。ベルギー王家から嫁いできた女性。
高貴な王宮での生活を好む。ルドルフとは対照的な人物。

作品の中では、初夜にルドルフから脅され暴行を受け、
新婚旅行では娼館に連れていかれ…という高貴な生まれでありながら
夫に振り回され悲しい場面の多い役どころ。
ルドルフとのパ・ド・ドゥは、1幕のラスト、暴行のシーン。
アクロバティックなリフトがあり感情が細かく動くので
技術も表現力も必要とされる難役。

ラリッシュ伯爵夫人

ルドルフの元愛人で、マリーと引き合わせた張本人。
史実ではルドルフの従姉妹。

バレエ作品の中でも、踊る場面が多く、
ストーリーを進める鍵となる重要人物。
個人的には彼女が一番、ルドルフを想っていたと思う!笑

 

主に1幕と3幕にルドルフと踊るシーンがあり(2幕にも少しあります!)、
2幕ではマリーやマリーの母とルドルフに近づく方法を相談するシーンに登場。

エリーザベト妃

ルドルフの母であり、現国王の妃。
姑のゾフィーと確執があり、幼少期のルドルフと引き離されたため、
息子に愛情をなかなか注げなかった。
美しい王妃として有名で、自己管理も徹底しており
美貌のため日々のトレーニングをしていたことでも有名。

この作品では、
1幕に息子ルドルフとのパ・ド・ドゥと客人たちとの踊り、
2幕に愛人とのパ・ド・ドゥがある。
3幕のラリッシュ伯爵夫人に詰め寄るシーンも大迫力で見せ場。

ミッツィー

貴族専門の高級娼婦(女優とも言われる)であり、
ルドルフが本当は1番好きだったのではないかと言われている女性。
ルドルフから一緒に心中しようと提案を受けるが、きっぱり断る。
賢く強く、したたかなイメージのある女性だが、
王族でなかったこともあり彼女に関する資料はあまり残っておらずその実態は不透明。

この作品では2幕に登場。

一人で踊るシーンも、ルドルフと踊るシーンもあるし、

ハンガリーの高官たち(4人)を引き連れて踊るシーンも見どころ。

ブラットフィッシュ

ルドルフがお気に入りの御者(運転手)。

プロローグとエピローグで雨の中、泣いているのが彼。
2幕の娼館、3幕のラストシーンの直前に一人で踊る見せ場があります。
軽快な踊りが全体的に暗いこの作品の中で際立って明るい!

思わず笑顔になれるキャラクターです。

ハンガリーの高官

ハンガリーの高官たち。4人のダンサーが演じます。
ルドルフに分離派運動について囁きます。

4人の体格のいいダンサーたちが迫力のある音楽に合わせて踊るシーンは壮観。
ジャンプやルドルフとのリフトがあるシーンもあり、見ていて気持ちいいです。
1幕から出ていますが、その後も事あるごとに出てきます。

シーンとシーンの間にもなんども登場。

国王(フランツ・ヨーゼフ)

ルドルフの父であり、国王。
エリーザベトの旦那であるが、オペラ歌手(史実では女優?)の愛人がいる。
保守的な考え方の持ち主で、息子ルドルフと対立。

ルイーザ

ステファニー王女の姉。結婚式に出席。

1幕の結婚式の場面でルドルフが1番最初に一緒に踊る女性がこの人。

それでは、あらすじを見ていきましょう!
…と、続きを書き進めていたのですが、あまりにも長くなりすぎたので次の記事にします。
以下からどうぞ。

バレエ 『うたかたの恋』(原題: Mayerling / マイヤーリンク)あらすじ